Latest Entries

    スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    ~未出の判例対策1~

    みなさんこんにちは。

    本日は、昨日までの「時効の援用権者」の記事の総括をしたいと思います。途中にしている憲法の話は次回します。

    ご存じのとおり、司法書士試験の本試験は、過去に出題された論点が中心に出題されます。

    その出題率がどれだけあるかですが、参考までに平成22年度の民法のデータをご紹介します(片口調べ)。



    総則  問題数3問 肢数15肢

    第4問 5分の2
    第5問 5分の3
    第6問 5分の0 (基本問題)

    計 15分の5 過去問からの出題率33%


    物権 問題数9問 肢数45肢


    第7問 5分の5
    第8問 5分の5
    第9問 5分の3
    第10問 5分の3
    第11問 5分の4
    第12問 5分の3
    第13問 5分の5
    第14問 5分の5
    第15問 5分の5

    計 45分の38 過去問からの出題率84%


    債権 問題数4問 肢数20肢


    第16問 5分の3
    第17問 5分の3
    第18問 5分の2 
    第19問 5分の5

    計 20分の13 過去問からの出題率65%



    親族・相続 問題数4問 肢数20肢


    第20問 5分の5
    第21問 5分の3
    第22問 5分の5
    第23問 5分の2 

    計 20分の15 過去問からの出題率75%

    合計数 100分の71 過去問からの出題率71%



    上記のことからわかりますように、実に7割が過去出題された論点から問われていることになります。

    裏を返せば、3割は未出の論点から出題されていることになります。


    ご存じのとおり、この試験は合格安全圏にいきたいのであれば、8~9割の正解率を達成しなければならないのであり、そのことを踏まえると、何肢かは未出の論点であっても正誤判断を強いられることになるわけです。


    では、未出の論点の対策としては、どのような方法があるでしょうか。


    ①未出の判例・先例・学説をとにかくたくさん覚える

    1つの方法としては、未出の判例・先例・学説をとにかくたくさん覚えるという方法があります。

    極論をいえば、判例等の結論をきちんと把握しておけば、各肢の正誤判断をすることは可能であり、覚えれば覚えた分だけ見たことのない論点が減ることになります。

    では、未出の論点を知るための方法は何があるでしょうか。

    一つは、予備校各社が実施している答練を活用する方法です。

    もう一つは、情報量が多いとされている市販のテキストを活用する方法です。

    しかし、これらには弱点があり、ちゃんとした講師がついていればいいのですが、独学であったり、本試験の分析ができていない講師がついていた場合、出る可能性の極めて低い論点まで手を出しがちになってしまうというおそれがあります

    特に答練は、受験生のニーズに合わせて未出の論点をたくさん出題しないといけませんから、本試験にでる可能性の低い論点も出題されがちです。

    自分自身が本試験の傾向をきちんと把握していれば(あるいは本試験を熟知している講師がついていれば)、どの論点が今年の本試験で出題される可能性が高くて、どの論点が低いのかを峻別できるので有効活用できるでしょうが、そうでない場合は焦点がぼやけてしまい、かえって逆効果になることもあります。

    また、人間の記憶の容量、特に7月の第一日曜日にもっていける頭に詰め込んでいける情報量は限られており、知識をたくさん詰め込むことによって、より重要な論点(過去出題された論点等)がないがしろになってしまうおそれもあります。

    したがって、この方法は謂わば「もろ刃の剣」といえるでしょう。


    なお、補足ですが、この方法を実践したい場合、テキストについては情報量の多いとされているものを選びましょう。

    多くのテキストは未出の論点についてはあまり掲載されていないのが通常です。ちゃんと過去問を分析している人にはわかると思いますが、基本的に予備校が作るテキストというのは後出しジャンケンであり、本試験で出題されたものを追加する(補訂する)という形式をとっています。

    ですから、過去出題された論点を把握するという意味では秀でていますが、未来の問題を予想するという点においては役に立たないことが多いので、その点は認識しておく必要があります



    ②本質の理解をする


    そこで、私がお勧めするのは、制度の本質を理解するという方法です。

    前回までのテーマである「先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効について、後順位抵当権者が援用することができるか」という判例(最判平成11・10・21民集53巻7号1190頁)は平成20年に初めて出題されたものです。

    仮に、この判例を本試験当日初めて見ることになったとしても、前回ご紹介したとおり、時効の援用権者となるためには「その財産権を奪わなければそれに匹敵する財産権を喪失することが求められる」 という定式を知っていれば、これにあてはめて答えを導くことができたはずです。

    前回ご紹介したその他時効の援用権者に関する判例の中には、まだ未出の判例があり、一般的な予備校のテキストに掲載されていないものもありますが、それらも一個一個覚える必要は全くなく、上記定式を理解していればそれで答えられるのです。

    これによって労力を大幅に削減することができ、かつ、確固たる知識とすることができます。

    こういったことを繰り返していくと、やがて法的素養が身につき、未出の論点にぶつかったとき、おのずと「座りのいい答え」を解答することができるようになります。


    私個人の意見としては、予備校が提供すべき情報とはこういった部分であり、これによって受験生の円滑な勉強に資するべきだと考えています。

    簡単な理由付けをするだけなら(本質に触れない「ごまかしのある」説明をするだけなら)、別に予備校なんていかなくても市販の本にいくらでも書いてあるからそれで十分なわけです。

    過去にどれだけ出たことがあるかという情報提供も、過去問集を見ればすぐわかるわけですから、受験生にとってたいして実益はありません。

    ですので、今後予備校を活用するのであれば、上記のような視点をもって、その選択を考えてみることをお勧めします。



    さて、最後に一つまた宿題をだしたいと思います。


    平成16-14-アに次のような問題が出題されています。

    ア 先取特権は、その被担保債権の全部の弁済を受けるまで、目的物の全部につき効力が及び、約定担保物権である抵当権とは異なり、当事者の特約によってこの性質を排除することはできない。

    正解は×で、先取特権の不可分性は当事者の特約で排除することができるという通説を問う問題です。

    この問題に関しては、予備校各社としては少々予想外だったと予想できます。

    なぜなら、最近の担保物権の書籍でこの通説の記載があるものが極めて少ないのです。当然ですが、我々講師陣も予備校も、未来の問題を予想する際には、基本書・体系書・注釈書を読み込むことから始めます。多くの学者の先生が扱っている論点は、当然試験にも出題されやすいですから、それをベースに予想していくのです。

    ところが、この先取特権の不可分性についての論点を扱っている書籍は、

    民法講義Ⅲ 我妻栄著 ⇒非掲載
    民法Ⅲ   内田貴著 ⇒非掲載
    担保物権法 柚木馨=高木多喜男著 ⇒非掲載
    担保物権法 船越隆司著 ⇒非掲載
    担保物権法 高木多喜男著 ⇒非掲載
    担保物権法 道垣内弘人著 ⇒非掲載
    担保物権法 高橋眞著 ⇒非掲載
    物権法講義 鈴木 禄彌著 ⇒非掲載
    民法総合3 平野裕之著 ⇒非掲載
    民法要義Ⅱ 梅謙次郎著 ⇒非掲載
    基本法コンメンタール 物権 遠藤浩編 ⇒非掲載

    と、一般的に読まれている担保物権の書籍には掲載されていないのです。

    結局、最近の本で掲載されているのは(あまり最近の本ではないですが)、注釈民法(8)くらいだと思われます。

    したがって、出題が少々予想しにくい論点の一つであったと思われます。


    しかし、この問題についても、民法の一般的な考え方をきちんと理解していれば、解答をすることは可能であったといえます。

    では、通説は、なぜこのように考えているのでしょうか。少し考えてみましょう。



    続きは憲法の話とともに次回お話をしていきます。


    こちらも応援お願いします。

    にほんブログ村 資格ブログ 司法書士試験へ
    にほんブログ村


    資格(司法書士) ブログランキングへ
    スポンサーサイト

    テーマ:勉強 - ジャンル:学問・文化・芸術

    «  | ホーム |  »

    2017-08

    • «
    • 1
    • 2
    • 3
    • 4
    • 5
    • 6
    • 7
    • 8
    • 9
    • 10
    • 11
    • 12
    • 13
    • 14
    • 15
    • 16
    • 17
    • 18
    • 19
    • 20
    • 21
    • 22
    • 23
    • 24
    • 25
    • 26
    • 27
    • 28
    • 29
    • 30
    • 31
    • »

    プロフィール

     

    片口 翔太

    Author:片口 翔太
    平成20年司法書士試験合格。
    法律を全く勉強したことがない初学者から1年1発合格を果たす。1発合格者の中では、トップ成績で司法書士試験を突破。

    以降、実務と共に資格の学校TACにて司法書士講座を担当。法学の素養を高めるため、大量の法学書を買い込み、年間の書籍購入費は毎年100万円を超える。

     

    ランキング

     応援お願いいたします。

     

    最新記事

    最新コメント

     

     

    最新トラックバック

     

     

    月別アーカイブ

    カテゴリ

    検索フォーム

     

     

    RSSリンクの表示

    リンク

    ブロとも申請フォーム

    QRコード

     

    QR

     

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。